Categories
Economics History Technology

お金とは?

お金とは何か、考えたことがあるだろうか?私はこの疑問に対する答えを探し求め、しばらくの間、お金について調べたり、読書したり、経済学の勉強をしたりしている。勉強すればするほどお金を理解するには歴史を勉強しなければいけないことに気づいた。お金とはいったい何なのか、結論づけるのはとても難しい。しかし、ひとつ確かなことは、ほとんどの人がお金を追い求めているということだ。生活のためにお金を欲しがる人もいれば、権力のために欲しがる人もいる。物を買うために欲しがる人もいれば他人を助けるために欲しがる人もいる。社会地位のために欲しがる人もいれば、他人に感心してもらいたいために欲しがる人もいる。その他にも諸々理由があると思う。ほとんどの人は、限りある時間をお金のために犠牲にし、人間関係よりもお金を優先する人さえ世の中にはたくさんいる。

しかし、お金そのものとは何なのかを知るのは本当に難しい。自由を得るための道具としてお金を使う人だって少なからずいる。人類は何千年も長く生き続けていて、お金という道具はどの時代も常に存在していた。どの時代にも、それを道具として使う人は少数で、残りのほとんどの人は、上記のような様々な目的のためにお金を手に入れるよう生きている。

私たちはお金について学ぶには、通常であれば過去から学ぶのが普通だがここで少し思考実験をしてみよう。100年先の未来から、現在を経て過去に遡り、お金とは何なのかを見てみよう。未来のことは誰にもわからないが、人類がこれから使うであろう、ある種類のお金には希望があり、そのお金自体が非常に優れたシステムで興味深いものになっている。

未来

2106年のことだとしよう。今生きている私たちはほとんど全員死んでいる。しかし、私たちの孫やひ孫たちは豊かな生活を送っている。それには理由がある。地球に住むすべての人類、そして火星のような他の近隣惑星にも、健全で、公平で、平等な通貨が使われているからだ。どこか1つの国や惑星の通貨が他より強いということはない。どの国の大統領であっても、その国が優れた軍事力を持っているからといって、他国を抑圧する力が持っていない。どの国の中央銀行も、通貨の発行量を決定したり、既存の通貨の価値を希釈したりする権限も持っていない。各国は、資源や支配のために物理戦争や核戦争をすることだって一切しない。なぜなら、そのような争いには何の意味もメリットもないからだ。しかし、唯一の戦争というのはサイバー・エネルギーの戦争が続いている。この戦争には物理的な接触が一切なく、その勝者となる者/国が莫大なエネルギーを獲得できる。そのエネルギーが何千年、何世紀にもわたって人類のために蓄積され、人類がそれを少しずつ利用していくことになるだろう。

その通貨の1単位を作る・発行するには、2106年から2140年まで34年以上もかかる。今後数十年にわたり発行のルールがすでに決まっているような通貨は今まで存在しなかった。そのルールは、誰にも変更できないように作られ、プロトコルに刻まれている。このルールは21世紀の最初の10年の終わり(正確には2009年)に書かれたものだ。一人の皇帝、王様、独裁者、大統領、組織、軍隊、企業、支配者や国など誰もこのルールの変更はできない。歴史を見ればどの通貨も絶え間なく変化され、露骨な乱用されてきた。この新しい通貨に対して誰もができる唯一のことは、通貨の創造に参加し、そのルールに従って正確に利用することだ。これらのルールは、参加者全員がコンセンサスに同意した場合に限り、変更することができる。

なぜこのルールが重要なのか?ルールは誰に対しても同じであるべきで、権力者を含めて誰も例外であってはならないからだ。スポーツで例えてみよう。各選手の属性や能力に応じてルールが変更されるようなスポーツがあったらどうなるのだろうか?そもそもそれがスポーツではなくなるし、競争の意味もなければもそんなスポーツの観客もいなくなる。そのようなスポーツに理性的な選手が参加するわけがない。例えば、ドリブルができない、ダンクやシュートが打てない、高く跳べない、40分間競技として走り続けることができないのであれば、バスケットボールというスポーツに向いていない。他のスポーツを選択し、一生努力するか、どんな状況でも誰にも変えてはならない共通のルールのもとでバスケットボールができるように努力する、その2択しかない。そうでなければ、それはスポーツとは言えない。お金や通貨の場合、カンティロン効果がある。お金を生み出す機関に近い人たちが最も恩恵を受け、その機関から遠い人たちは、隠れた課税以外の何物でもないインフレという形で、その代償を払わなければいけなくなる。これは詐欺ゲームなのだ。

どの通貨のことを書いてあるか把握できているかもしれない。上記はビットコインのことだ。その詳細に入る前に、まず現在の通貨システムについて考えてみよう。今の通貨制度のルールは、閉ざされたドアの向こうの数人の権力者たちによって作られ、常に変更されている。翌日にはどのようなルール変更になるのか、今年や来年、ましてや10年先までどれだけの新札が刷られるのか、誰にもわからないのだ。しかし、ビットコインに関しては、ルールは全て決まっている。2140年は、ビットコインの最後のサトシが採掘される年だ。そして2106年から2140年まで、世界中のマイナーたちは、ビットコインの最後のサトシを採掘するために莫大なエネルギーを費やすことになる。この最後の通貨単位をめぐる戦争は、私たちの文明の歴史上、最も長く戦われる、非物理的、非核的、平和的な戦争として語り継がれるだろう。これについては、今後の記事でも詳しく書く予定だ。この新しい通貨システムについてもっと知りたければ、「The Bitcoin Standard」をチェックしよう。

現在

お金について深く調べるうちに、現在のシステムの道徳性に疑問を抱くようになった。現在、貨幣の発行権は特定の機関や政府に許されており、権力者は合意やルールなしにその量を変更したり方針を決めたりすることができる。そのルールは絶えず変更され、あたかも経済の繁栄を助けているように見せかけている。通貨供給量の増加は、生活の質の向上に役立つと思う人はいるのだろうか?貨幣の供給を増やすことは、どのような結果をもたらすのだろうか?特定の人々の意見によって簡単に供給量を増やすことができるのであれば、徴税の意味はなんだろうか?なぜ無制限に増やさず、誰もが豊富に通貨を持てるようにしないのか?その場合の徴税の意味とは?このような疑問から、私はお金についてさらに深く探求するようになった。

最近、世界中でインフレが懸念されている。インフレの主な原因は何だと思う?インフレが始まる前に、権力者たちは何をしていたのだろうか?通貨供給量の増加によって、既存の通貨の価値が希薄化し続けている。貨幣の供給量が多ければ多いほど価値が希薄になるため、あらゆるものの価格が上昇する。近年、世界中の中央銀行が無制限に通貨を発行し、中には国民に一定額を配布していた銀行さえある。経済を封鎖し、人々に自由なお金を提供することで、多くの人々は問題を解決できると思っていた。人々はそのお金で必要もないものを手に入れていた。よく考えたらそれも当たり前のことだ。何しろタダなのだから。人々は、働かなくとも食べ物や商品、サービスが無から生み出されると思っているのだろうか?

このような政策の結果は誰もが想像できる。歴史を見れば物価上昇、インフレ、税金、戦争は当然のことだ。ばらまかれたお金は誰が払うのだろうか?その代償を払う義務はだれにあるのだろうか?未来の世代は、彼らが生まれるずっと前からその負債を負っているのだ。

正直に言うとお金の腐敗は人類を腐敗させる。お金の健全性は文明の健全性に正比例する。健全な世界を創造するためには、健全なお金のシステムが必要なのだ。

世界中で今税金が上がり続けており、今後も上がり続けるだろう。どうみても世界で最も強力な政府は、ホームレスの問題さえ解決できないくせに、もっと税金を払えば地球の気温を変えられると豪語している。これは本当に笑える話でしかないのだ。税金の歴史については「税金の世界史」を、経済学について知りたければ「The Principles of Economics」をご覧いただきたい。

2022年のインフレ率はジンバブエ284%ベネズエラ210%トルコ73%アルゼンチン72%だった。世界の50カ国以上が2桁のインフレ率だ。人々は貯蓄を失い、低所得で家族の食費さえままならない状態になっている。物価はとんでもなく高くなっている。将来のために蓄えていたお金は、想像以上の速さで購買力を失っている。お金は日に日に無価値になり続けている。これらは悪い金融政策の結果でしかない。米ドルは世界の基軸通貨であるため、あらゆる通貨が米ドルに依存している。連邦準備制度は米国の中央銀行制度でありその名の通り、中央銀行で、通貨システムの中央管理を意味する。これは実際、アメリカの4番目の中央銀行で、その3つの前身が失敗したのには理由がある。歴史上、中央集権的に管理されていた通貨はことごとく失敗で終わりを迎えている。

金は何千年もの間、健全な通貨として信頼されてきたが、ビットコインは金よりも健全な性質を持つとして台頭してきている。もちろん、何千年も信頼されてきた歴史において金に勝るものはないが、ビットコインは携帯性、保管性、固定供給という特性において金よりも優れている。ネパールやその他多くの国は、ビットコインを禁止しようとしている。ただ、12~24の単語を覚えるだけで所有できる資産をどのように禁止することができるのだろうか?仕組みすら理解せず、禁止するというのは愚かな考えだ。ビットコインは、それを保有する個人に完全な自己主権を与える。どの国も、企業も人々も、遅かれ早かれビットコインを受け入れる他選択肢はない。

もっと詳しく知りたい方は、「Bitcoin:Hard Money you cant F with」をお読みください。

歴史は繰り返さないが、韻を踏むと言われている。そこで、お金の歴史を簡単に振り返ってみよう。

過去

古代エジプトを遡ること約5000年前、エジプトの王様は自分たちの死体を埋葬するための墓としてギザのピラミッドを作った。ピラミッドと一緒に、彼らは金の宝石を含むすべての富/金を天に運ぼうとしたが、1000年経ったら墓荒らしに見つかってしまう結果になった。人間は常に、自分の富をできるだけ長く守り続けようとしてきた。死後、天国や死後の世界へ持って行こうとさえしていた。金は何千年もの間、健全な通貨であったが、金には短所がひとつある。一方、ビットコインは死後も持ち運ぶことができる。自分の秘密鍵を誰にも教えなければ、少なくとも自分が持っているビットコインを取り除くことで、他の既存のビットコインの価値を高めることができる。ビットコインの供給量は2,100万枚に固定されているため、その秘密鍵の不明なビットコインの数が増えれば増えるほど、残りのビットコインの価値は高まる。これは、人類と自分の仲間に対してできる最も崇高な慈善行為である。

1600年前の大ローマ帝国を振り返ってみよう。ローマ帝国は1000年間以上続いたが、やがて崩壊した。蛮族などの外部勢力からの攻撃など、崩壊の理由は数多くあるが、内部からも崩壊が進んでいた。絶え間ない戦争、課税、インフレ、深刻な財政危機が致命的な役割を果たした。経済的な問題、軍備の過剰拡大と過剰支出、政府の腐敗、奴隷労働への過度の依存が、崩壊に大きく寄与していた。貧富の差は拡大し、富裕層は税金を逃れるために田舎に逃げ込んだ。帝国はやがて労働力不足に揺れた。農業と商業の生産が落ち込むと、帝国は完全に破壊への道に進んだ。帝国は全財産を軍備拡張につぎ込み、その結果、技術進歩は鈍化し、市民インフラは荒廃した。

500年前から1500年代初頭までの最近の歴史を見てみよう。この5世紀の間に3つの強力な帝国があった。オランダ帝国18世紀末までの約200年間、最も強力だった。オランダのギルダーは当時最強で強力な通貨だったが、やがて無制限に通貨を発行し、軍事費と戦争に費やし続けていたら衰退した。その次に強かった大英帝国も同じ道をたどった。大英帝国も同様ように、最も多くの金を集めたが、結局は没収し、負債であるポンドの大半を軍事費と戦争費に充てた。そしてその結果は、オランダ帝国と何も変わらなかった。大英帝国は崩壊し、19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカという新たな経済巨体が誕生した。19世紀末から20世紀初頭にかけてのアメリカは金本位制から通貨を切り下げ、大量の米ドルを発行し、ドルの価値は歴史上どの帝国も経験したことのないスピードで下落している。アメリカの中央銀行とドルについてもっと知りたければ、「The Creature From Jekyll Island: A Second Look at the Federal Reserve」を強くお勧めする。その前身である3つの中央銀行が失敗した理由を知ることができる。

最後までお読みいただきありがとうございました。また次回。

One reply on “お金とは?”

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *