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税金の世界史

「この世で最も理解しがたいものは所得税である。」- アインシュタイン

アインシュタインが理解できなかったのだから、私たちが理解できるはずがない。通貨の歴史と税制に飛び込もう。この本はイギリスの作家で声優でもあるドミニク・フリスビーが書いた面白い本だ。彼は、現代の通貨制度の欠陥を包括的に探求し、より公平な未来のための代替え的な金融の道を検討するものとして書いてくれている。様々な国で様々な期間に課された特異な税金の歴史的な例が記載されている。この本を読めば現代の税制の合理性や公平性に疑問を抱くかもしれない。

まずは、悪名高い窓税について見てみよう。窓税は基本的に家の窓の数に対する固定資産税だ。ヨーロッパの映画や写真で煉瓦造りの窓のある家を見たことが誰でもあると思う。なぜ窓が煉瓦で埋めているかというと、窓税という愚かな課税システムがあったからだ。英語版の本のタイトルの意味通り、昼間の強盗だ。この税制は18世紀と19世紀のイギリス、フランスとアイルランドで導入されていた。このように、家の窓の数が多ければ多いほど、富裕層の地位や階級がわかる。この税制の根拠は、窓が富と繁栄の証と見做されていたため、国家に歳入をもたらすことにあった。しかし、この税制は意図しない結果をもたらした。例えば、納税を避けるために窓を煉瓦で塞ぎ、後で税制が廃止された時に窓を開けることを奨励したのである。この例は、税制がいかに恣意的で、愚か、負担が重く、非知性的、無知、無脳、不条理であることを示している。

この種の税制は、論理的な経済原則から切り離されている。現在人なら誰でも、この税制は非常識でいかに狂っていることがわかるが、当時生きていた人々にとっては、権力者の強圧的な行為で従う他選択はなかった。今、私たちの周りにある税制について考えてみよう。簡単に計算してみよう。20%の税金を払っている人は、1年の2.5ヶ月間はタダ働きしていることになり、30%の税金を払っている人は、3.5ヶ月間はタダ働きしていることになる。勤続年数が40年だとしたら、8年〜12年はタダ働きしていることになってしまう。ここでは20%と30%を例に挙げたが、もっと払っている人もたくさんいる。その見返りとして道路や高速道路が整備されているから良いと考える人もいる。同様に、窓税の時代に生きていた人たちは煉瓦造りの窓を家に美的デザインとして考えていたかもしれない。

税制の本質を言うと、税金はみんな払っているものではなくて、税金は取られているものだ。なぜ?私たちには選択肢はないからだ!自発的なものであれば支払うと言えるが、強制的に徴収されるものなので取られていることになる。

もう一つ、ヒゲ税という馬鹿馬鹿しい例を見てみよう。これは17世紀〜18世紀のロシア、イギリスとフランスの税制である。国を近代化し、より西洋的な外見を奨励するための権力者の努力と呼ばれるものだった。ヒゲを生やした男には、政府が課すヒゲ税を納めたというヒゲトークンを持たせることさえしていた。権力者たちの愚かさの極みを考えてほしい。これらの例は、社会規範に対する権力の影響力を反映し、税制がいかに個人の選択や外見にまで及ぶか示すものである。

このような例は他にもいくつか挙げよう。例えば、18世紀のイギリスで、帽子の品質と評価に基づいて課されていた帽子税があった。この税制は社会的地位の象徴となり、高い帽子税を払う余裕のある者は、社会における富と地位を示すこのになった。これは単に政府の歳入を増やすために考案さされたものだった。もうひとつは、18世紀のイギリスで課されたレンガ税で、代替え建築資材の使用を奨励し、政府の歳入を得ることを目的としていた。その結果、建築材料としてのレンガの使用は減少し、木材などの他の材料の開発が促されたのである。おかしなことに、これらの税制は数十年も経った後にやっと廃止されることになった、中には半世紀も続いたものもあった。

驚くべきことは、振り返ってみれば、人々は簡単に不合理だと言うことができるが、その状況を生きている間は、権力者の言うことを従うことしかできない/やらないということだ。少なくとも歴史は、税金の役割とそれが社会に与える影響について貴重な洞察を与えてくれる。政府や権力者が必ずしも国民のために働くとは限らない。私たちは自分の周りで起こっていることを観察し、自分の地頭で考える必要がある。純粋に国民のためのことを考え、行動する指導者が少ないのは明らかだ。しかし、ほとんどの場合、絶対的権力は接待的に腐敗する。

これらの特異な税制は、本書のより広いテーマになっている。様々な税制の公平性と合理性を問うことを強調している。このような特異な税制は、おそらく歴史的に特殊なものではあるが、政府が型破りな方法で個人から富を引き出すといる、より広範な問題を反映している。税制の背後にある原理と正当性を分析し、個人の自由と経済的繁栄に沿った代替的なアプローチを検討うることは極めて重要である。税制はより広範な意味合いを持ち、私たちの生き方に影響を与え、社会の発展の方向性も左右されてしまう。

本書は、貨幣、中央銀行、通貨操作の歴史を通じて、これらの行為がいかに富の不平等、金融危機、個人の自由の侵食に寄与してきたかを明らかにしている。

金と銀は人類の歴史を通じて、信頼できる価値の保存手段として重要な役割を果たしてきた。中央銀行の台頭と不換紙幣の出現によって、政府が紙幣を管理することが可能になり、政治的・経済的操作の道具として利用されるようになった。現在の通貨システムに内在する欠陥、分数準備銀行制度は、負債と金融不安のサイクルを永続させている。このようなシステムは、主に金融エリートに利益をもたらす一方で、一般庶民には負担を強くする、その結果、貧富の格差が拡大し、経済の流動性が低下している。インフレや通貨の勝ち下げ、購買力の低下など、既存の通貨システムには潜在的なリスクや危険が潜んでいる。従って、個人が保有する金融資産を多様化し、代替投資を検討し、従来の不換紙幣の潜在的な落とし穴から身を守ることは極めて重要になってきている。お金についての知識を深め、オープンな議論を行い、次世代金融の未来を形作りに積極的に参加することが重要になる。現状に疑問を持ち、より広い範囲の金融の道を探ることで、私たちはより包括的で透明性が高く、持続可能な通貨システムの構築に取り組むことができある。

現在の通貨管理方法は国際関係に影響を及ぼし、世界のパワー・ダイナミックスを形成する可能性があるため、通貨システムには政治的・地政学的な意味合いがある。昨今、ロシアに対する制裁措置として、ヨーロッパやアメリカにある数千億ドルのロシアの金や外貨準備の凍結、または規制当局の準備金や資産の管理、あらゆる法人や組織との取引に関連するすべての取引の禁止なおが行われた。これらは金融戦争であり、各国がグローバルな舞台で影響力を行使し、優位に立つために経済的手段を用いる方法である。

現在の通貨制度は、自由やプライバシーの面で、個人レベルにも大きな影響を及ぼしている。デジタル形式の貨幣を含む様々な方法を通じて、個人情報の監視と管理が強化されていることは、本当に懸念すべきことである。個人の主権を維持し、金融取引におけるプライバシーを保護することが重要である。どのような金融システムにも内在する複雑さとトレードオフを認識し、バランスの取れた視点が必要である。公平性、安定性、個人のエンパワーメントを優先する解決策を探るために、オープンマインドでこの話題に取り組み、建設的に対話をしなければならない。

現在のシステムを批判しながら、著者はまた、金融情勢をナビゲートしようとする個人のために、実践的な洞察と実行可能な方法を提供している。個人的な財務管理と投資戦略に関するガイダンスを提供し、読者が十分な情報を得た上で決断を下し、経済的な幸福をコントロールできるような内容を記載している。彼のよく研究された議論と魅力的な文体は、経済学に精通した読者のみならず、初めて経済について学ぶ読者にもわかりやすくて面白く内容をまとめてくれている。

富の再分配の概念や、それをめぐる歴史的、哲学的な議論についての洞察も含まれている。社会主義や資本主義といった異なる経済イデオロギーについても書かれており、富の創造、税制、不平等への対処における国や国家の役割といった複雑な問題についても、ニュアンスの異なる視点を提供している。

ビットコイン、暗号通貨、ブロックチェーン技術など、通貨には代替形態がある。著者は、分散型金融が伝統的な金融システムを破壊する可能性が強調し、伝統的な銀行き感を回避しながら、個人の財務管理を強化する力を与えると言う。暗号通貨のめぐっては、スケーラビリティ、規制、ボラティリティの問題など、課題や不確実性もある。しかし、こうした新たなテクノロジーは、個人に金融のエンパワーメントをもたらし、より透明で分散化されたシステムを実現する機会を提供する。ブロックチェーン技術は金融だけでなく、サプライチェーン管理や投票システムにも革命をもたらす可能性がある。

今、世界中で金融システムの大転換が起ころうとしている。だからこそ、金融システムをめぐる一般的な物事に疑問を投げかけ、これまでの常識を覆すことに挑戦し、富や負債の本質、政府や金融機関の役割について批判的な思考を持つことが賢明だと言う。すべての人にとってより公平で持続可能な金融システムの未来に向けて、共に努力しよう。新たなテクノロジーについて学び、既存のパラダイムに疑問を投げかけ、すべての人のための金融環境の再構築に積極的に貢献しよう。私たちは、一人ひとりに力を与え、持続可能な経済成長を促進する、より公平で強靭な金融システムの実現に向けて努力しなければならない。

以上、今回もお読みいただき、ありがとうございました。また次回お会いしましょう。今日伝えたい重要な内容の一つは、「歴史は時の権力者/勝者によって書かれるものであって、必ずしも正義・真実とは限らない」ということです。英語と日本語で色々ブログ、読書後の感想、経験などを書いています。興味ある方はこちらで今日のブログを英語でもお読みいただけます。

追加で、ドミニク・フリスビー氏の興味深いSFロックドラマ、「Shadowpunk Revolution」はお勧めです。(英語版しかないですが)

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